アーティストインタビュー

ストリートフォトグラファーのJetsonoramaのインタビュー紹介

jim begishie in cameron (navajo pride) (photo by Jetsonorama)

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アメリカのストリートフォトグラファー:Jetsonoramaのインタビュー

今回は、アメリカはアリゾナ州の
ネイティブアメリカンのナヴァホ族が暮らすリザベーションエリアで活動するアーティストのJetsonorama氏(本名:Chip Thomas:チップトーマス)のインタビューを紹介していきたいと思います。
彼は、ナヴァホ族が暮らすリザベーションエリアで医師として活躍する一方アーティストとしても活動しているストリートアートの世界では、珍しいタイプのアーティスト。

そんな彼のアートについての価値観やライフスタイルなどに迫ったインタビュー行いました。


 
Grandma's New Bike (photo by Jetsonorama)Grandma's New Bike (photo by Jetsonorama)





masa:
あなたはいつアートに興味を持ち始めましたか?

Jetsonorama:
12歳の時に初めて、カメラを持ってから白黒フィルムで撮影をはじめたんだ。
その時からすでに写真にのめりこんでいて暗室を使用して現像していたんだ。

しかし、医者の仕事で1987年から,ナヴァホのネイティブアメリカンのリザベーションエリアに引越す事になったんだ。
その時から、自身の暗室を使用して本格的にアート写真の活動をスタートしたんだ。

 
 
masa:
あなたのアートは、どこかで学校などで勉強したテクニックですか?
それとも自身で開拓していったテクニックですか?

Jetsonorama:
完全な独学だね。

 
 
masa:
今の製作中のアートはどんな作品ですか?

Jetsonorama:
それは、いい質問だね。
実は、今は作っているアートは、ストリートアーティストのJRにインスパイアされた作品で
俺も自分の撮影した大きな写真を使って、ストリートにメッセージを表現しようと思ったんだ。

でも、過去にも今のものとはサイズは異なるけど、もっと小型の写真を使用した
ストリートアートも作っていたんだ。

それは、ナヴァホのネイティブアメリカンのリザベーションエリアで行った
ストリートアートで、彼らの生活の拠点となるメインのエリアで行ったアートプロジェクトだったんだ。

それは、街の情報を掲載している掲示板にナヴァホの日常生活を写した写真を貼り付けていったんだ。

その活動は、だいたい5年くらい続けていたんだけど。
その結果、いつのまにかその写真はナヴァホの人達の間で人気コレクターアイテムになっていったんだ。
とても面白い現象だったね。

後、2009年に旅行で3ヵ月間ブラジルのサラバドールという町にいたんだ。
その時に、とてもエキサイティングなアートをしていて、とても尊敬しているストリートアーティストと知り合ったんだ。

彼は、Limpo Rocha(リンポ・ロチャ)というアーティストで、彼の作品は、サラバドールの町中どこに行っても見ることが出来る
とてもパワフルに活動しているアーティストなんだ。

旅行の最後の三週間くらいの間、彼のスタジオで過ごしていたんだけど
その時に、彼のアーティストの友達と話したり、遊んだりしていて凄くインスパイアされたんだ。

彼らのストリートアートに対するパッションや気持ちにとても影響されたよ。

その後、アメリカに戻ってから、その気持ちで私も自分の住んでいるナヴァホのリザベーションで
ストリートアートポスタープロジェクトを始めようと思ったんだ。

ナヴァホリザベーションに住んでいる人々は、自分達の民族の習慣や伝統を守っているんだ。
だから、そういうポジティブなイメージを表現したかったんだよ。

最初の作品は、ナヴァホの酋長の写真だったんだ。
コミュニティーのポジティブなイメージを見せる為にね。

このエリアの経済は悪く、貧しいから自分のアートを使ってローカルな人にインスピレーションを与えたいと思ったんだ。

私はRoy DeCarava(ローイ・デカラーヴァ)やDiego Rivera(ディエゴ・リヴェーラ)などのアーティストに影響されたこともあった。

ローカルの人の価値観や世界観を変えたいと思った。
そんなに簡単な事ではないかもしれないけど、自分ではとてもポジティブなアイディアだと思っている。

私は医者として、アルコール中毒や、DV(ドメスティックバイオレンス)や
それに伴う車の事故などを毎日見ているんだ、これは殆ど貧困の影響だと思う。
こういう状態に陥った人達に、愛情やポジティヴなイメージを与えたいと思っているんだ。

そして、アートを通して、コミュニティーを守りたいと思っている。
今年の夏に、サンフランシスコでDogpatch(ドッグパッチ)というプロジェクトを行った。
このプロジェクトは同じストリートに住んでいてわりには、全く面識がないといった人達が多いんだよ。
それではコミュニティーとしていけないと思って、近隣のエリアの面識の無い人達を集めてコミュニティーのミューラルを描いたんだ。

このミューラルの絵は、ローカルのお婆さんと小さい子供だった。
そのミューラルを描きながら、人々はコミュニケーションをとる為に近づいたり
話したり、初めてという事もあったので挨拶したりしてコミュニティーはやっと親密な関係を築いたんだ。
だから、このミューラルが無くなってからもそのコミュニティー内の関係が存続しているといいね。

私のインスパイアされたアーティストはKeith Haring(キース・ヘリング)
みたいなイラストレーター系アーティスト、そしてRoy DeCarava(ローイ・デカラーヴァ)や
Diego Rivera(ディエゴ・リヴェーラ)などのメキシコ人のミューラル系アーティスト。

 
jim begishie in cameron (navajo pride) (photo by Jetsonorama)jim begishie in cameron (navajo pride) (photo by Jetsonorama)




masa:
過去のギャラリー展示の様子を教えて下さい?

Jetsonorama:
過去には、何度も展示を行ったけど、最近アリゾナ州のフェニックスでグループショーに参加したんだ。
昔、私の展示する作品は殆ど暗室で作ったジェラティンシルバープリント(写真のテクニック)だったけど
最近は、インスタレーション系の作品が多いね。

だけど、ジェラティンシルバープリントは段々珍しくなっているからこれからも作っていきたね。

あと、それらのテクニックを合わせて違った作品も作りたいと思っているんだ。
プリントを作る事が大好きなんだ、見た目が綺麗でいいよ。

 
 
masa:
現在のストリートアートのブームについては、どのように感じていますか?

Jetsonorama:
かっこいいと思うよ。
世界中に沢山の優れたアーティストが活躍しているけど彼らのアートはやっと認められ始めたよね。

 
 
mae at black mesa shopping center  (photo by Jetsonorama)mae at black mesa shopping center (photo by Jetsonorama)



masa:
他のアーティストとコラボレーションした経験はありますか?

Jetsonorama:
よくコラボレーションするよ。
最近、フェニックスの展示でスプレーペイントアーティストとコラボレーションしたんだ。
他のアーティストとコラボレーションして、アイディアを交換する事が好きなんだ。
自分もそうだし、人間としても、アーティストとしても成長するからね。

 
 
mae at gray mountain (close)  (photo by Jetsonorama)mae at gray mountain (close) (photo by Jetsonorama)




masa:
気になるアーティストはいますか?

Jetsonorama:
沢山いるけど、StenとLexJRやEscif、Os Gemeos、Gaia、Chris Stain、Swoon, Alberto de Pedro、Stinkfish,
Wordto Mother、Raul Zito、Magrela Mag、Sinha Sinha、BluInteresni Kazki、Titti Freakなどのアーティストは
とてもお気に入りだね。

 
 
masa:
あなたの作品のテイストは他のアーティストに影響されている部分はありますか?

Jetsonorama:
自分のお気に入りのアーティスト達全員に、影響されて作品を作る事は多いよね。

私の作品を作るテクニックはJRのテクニックに似ていることから、違うコンセプトを打つ出そうとしているんだ。
Raul Zitoや、Faux ReelやAlberto de Pedroの作品もそうだね。
他のアーティストの作品を見たら、影響される事は多いよね。
去年、Alberto de Pedroは鉄道の近くに子供の顔の作品を作った。

三面の大型アートでまるで3Dみたいだったね。
私は凄く感動して、彼の影響で私も3Dのようなアートを作り始めた。

他のアーティストにインスパイアされているけど
私はユニークなポイントで知名度を上げたいと思っているんだ。

例えば、1990年代の写真プロジェクトに、エスニックマイノリティーの人達の写真を使っていたから、このテーマについても珍しいと思う。

メディアやアートにあまり出ない人の写真を使っていたしね。
私もエスニックマイノリティだから、エスニックマイノリティの代表としてアートを作っていく事は、大切なことだと思っているんだ。

 
sheep dog guarding flock  (photo by Jetsonorama)sheep dog guarding flock (photo by Jetsonorama)




masa:
日本に来て、アート作りたいと思ったことはありますか?

Jetsonorama:
絶対に行ってみたいね。私は長い間、日本のカルチャーやスタイルに興味あったんだ。
日本人のデザインセンスは実用性富んでいて、上品な考え方も含まれているからね。

 
 
masa:
ストリートスタイルの読者への伝えたいメッセージはありますか?

Jetsonorama:
2011年の東北大震災の後、世界の人はみんな日本を見ていて、日本人の災害に対する反応を見てとても感動していた。

みんな日本人のマナーをリスペクトしていたんだ。
私の意見を聞かなくていいけど、世界中の人達は感動していたと思う。
これからも頑張ってほしいと思っている。

 
 
masa:
これからのアートプランはどんな事を考えていますか?

Jetsonorama:
最近行われた「The Spirit of Apollo」というプロジェクトにすごく関心があったんだ。
このプロジェクトはN.A.S.A.によって主催されてプロジェクトなんだけど
違う国に住んでいる二人のDJとミュージションがコラボレーションし
お互いに会ったことがなかったもない人達が作り上げた曲なんだ。

私とブラジル人アーティストのRaul Zitoも、このコンセプトにインスパイアされて
彼が私の写真をサンプルして、サンパウロにあるミューラルに入れたんだ。
私もアメリカで彼のアートをサンプルして自分の作品に入れたんだ。

私はブラジルが大好きで、2月にもブラジルに戻る事にしたんだ。
リオデジャネイロとサンパウロに行って、ストリートアーティストの友達を訪ねる予定なんだ。
おそらく、その旅でもアート作品でコラボレーションするかもしれないね。

来年の春には、メアリーランド州のバルティモー市に行って
Gaiaというアーティストと一緒にストリートアートプロジェクトに参加する予定だよ。
その間にも、ナヴァホのリザベーションでポジティブなメッセージを広げ続けるよ。