イラストレーター:ジョン・パウンド
毎回好評頂いている当サイトの人気コンテンツでもある、世界で活躍するアーティストをインタビューするコーナーですが、今回インタビューに成功したのはアメリカでイラストレーター・アーティスト活躍しているジョン・パウンド氏です。ジョン・パウンドといえばアメリカのトレーディングカード会社 Topps(トップス)の名作カードシリーズ「
ワッキー・パッケージズ」のイラストやアメリカで今尚愛されている不朽の名作「ガーベッジ・ペイル・キッズ」のイラストを描き続けてきたアーティストです。
今回、彼にインタビュー出来た事は個人的に今までのインタビューの中でとてもエキサイティングな経験になりましたし、そして彼とコミュニケーション出来た事は何よりも光栄でした^^。
まず、その前に彼が今まで行ってきたキャリアの一覧を掲載します。
ジョン・パウンドのアートキャリア
- 1967年~1970年:高校生頃の新聞のためにコミックを描いた。
- 1970年:大学に入学して最初のサンディエゴで行われるコミコンをオーガナイズ。
- 1970年代:アンダーグラウンドコミックを描いたりコミックカバー、Tシャツをデザインしたり、サイケデリック系のアートを描く。
- 1980年代:ファンタシーアート限定プリントを描いた。そしてコミックブックのカバー、SF系の本のカバーアートを描いた。
- 1984年:Toppsのワッキー・パッケージイラストを描く。GPK(ガーベッジ・ペイル・キッズ)のイラストを描き始めた。
- 1990年代:様々なカバーアートや、イラストを描いた。
- 1992年:初めてパソコンコードを通して、ランダムコミックというアートの手法を開発。
- 1997年:www.poundart.comのウェブサイトを開設。
Meanie Babiesというトレーディングカードシリーズを描いた。 - 1998年:SHORTY’Sというブランドのためにスケートボードアートを描いた。
- 2000年代:再度、GPK(ガーベッジ・ペイル・キッズ)のイラストを描いた。
パソコンでコミックを描き続けた。ローカルのギャラリーでポスターなどの作品を展示した。 - 2010年代:自身のアートブックを制作。パソコンコードアートを作りコードアートブックを製作している。
それでは、アメリカ人のイラストレーター:ジョン・パウンドのインタビューをどうぞ!
イラストレーター:ジョン・パウンドのインタビュー
Masa:
あなたが、アーティストとしてのキャリアを目指すことになった理由は、どんなきっかけだったんですか?
John Pound:
僕の高校では、二週間に一回に出版される新聞があったんだ。
新聞用のカートゥーンやコミックのイラストを描けるために、ジャーナリズムという科目を選んだんだけど、初めて自分のアートを新聞で見たときに、多くの人をアートというエンターテイメントで楽しませられる事を感じたんだ。
そして、読者たちと一緒に冗談をシェアしたり、楽しんだりする事ができる。
その時に、カートゥーンを描き続けるために、イラストレーターになることを決意したね。
Masa:
アーティストとして、どんな物や出来事から影響を受けてきましたか?
John Pound:
子供の頃、テレビのカートゥーンを見たり、コミックを読んだり、プラモデルのモンスターを作ったりする事が好きだったね。
そして、アメリカには、MADというバッドユーモアをテーマにした雑誌があって、この雑誌はポップカルチャーや、映画や広告業界などを皮肉ったテーマを扱ったユニークな雑誌なんだ。
MADマガジンは多くのアメリカ人のアンダーグラウンド系アーティストをインスパイヤーしてきた。それとMADマガジンのおかげで広告やメディア業界を信用しないようになったね。(笑)。
そして、様々なコミックコンベンションでは、他のアーティストに出会うことができて、彼らのテクニックを学ぶことができたんだ。
そうして、コミックの出版社や、編集者に出会うことができた。その環境には、とてもインスパイヤーされたね。
ビジネス的にアートを作る時は、クライアントの希望に合わせて、彼らの望んでいる描いて欲しいアイディアを形にしてきた。
そのためには、私は色んなアイディアをスケッチして、クライアントに見せ、電話やEメールで一緒に相談してきた。
自分で好きなアートを描く時は、周りの環境にとてもインスピレーションを受けるね。
特に、パソコンのコード(プログラム)を使って、普通の本やポスターの「偽物」や、「意味のない」バージョンを作る事が好きなんだ。
これらのアートは、とくに深い意味がないので、デザイン的なことに集中できる点が面白いんだ。
パソコンコードアートでも、イラストでも、取り合えず、デザイン的にに見た目のいいアートを作りたいと思っているんだ。
Masa:
アート作る際、どんなメディアか、マテリアルを使う事が好きですか?
John Pound:
昔、アクリルとか、エアーブラシを使うのが好きだったね。最近まで、簡単で早いから鉛筆で絵を描く事が多かったね。
でも、今、ディジタルコードを通してカートゥーンをデザインすることが好きだから、それがお気に入りの作り方かな。
コードを書いて、色や、スタイルや、レイアウトや、テーマがランダムに選べられる。
こういった感じで、インスタントなコミックを作れる。まだ出版していないけど、自分のために一冊印刷して、自由に読めるからいいね。
Masa:
今までやってきた作品の中で、どんな仕事が一番楽しかったですか?
作ってきた作品の中で、どの作品に一番思い入れがありますか?
John Pound:
ガーベッジ・ペイル・キッズの仕事は、やっぱり楽しくて、とても人気があったけど
それ以上に、今は、自分の私的なプロジェクトをとても気に入っているね。
ディジタルコードのコミックは、自分のプロジェクトでやっているから、お金のためではなく、自分のためにやっているから本当に楽しいね。
このアイディアは、かなりユニークで、おかしいはずだけど、逆に、それが、いいアイディアだと思んだ!
この一つの簡単なアイディア(つまり、コードアート)は、大きなアートシリーズになって、新しいアート世界のドアを開けたと思っているよ。
Masa:
あなたは、ガーベッジ・ペイル・キッズのイラスト描きましたが、その仕事のきっかけは?
John Pound:
僕は、ただ運が良かった!(笑)。
みんなも知っていると思うけど、アート・スピーゲルマンというアーティスが、私に連絡してきて、Wacky Packages(ワッキー・パッケージ)のために、イラストを依頼してきたんだ。ワッキー・パッケージというカードは、知っているかもしれないけど、有名なグッズのパロディーカードなんだ。
そして、Toppsというトレーディングカードの会社は、その時もう一つのアイディアがあった。
あの当時の人気あったCabbage Patch Kidsという人形のパロディーカードを作りる予定だった。結局そのカードシリーズは、「Garbage Pail Kids(ガーベッジ・ペイル・キッズ)」というパロディーの名前になった。
僕は、このシリーズのために多くのスケッチや、サンプルを描いて、Toppsに送ったよ。彼らは、僕のスケッチをとても気に入ってくれて、二ヶ月の間で44枚のイラストを依頼してきたんだ!納期は非常に短かったけど、結局全てやり終えたよ。
そして、そのシリーズのカードは、びっくりするくらい売れた。(日本では、「ぶきみくん」というカードで売り出された)
ガーベッジ・ペイル・キッズのカードの人気が物凄かったから、またToppsにイラストを依頼されて、数百枚のカードデザインを描いたんだ。
そして、僕は他のアーティストにGPK(ガーベッジ・ペイル・キッズ)の描き方を教えて、一緒に多くのカードをデザインした。
Masa:
GPKのイラストは、全てあなたのオリジナルなデザインでしたか?
John Pound:
半分くらいは僕のデザイン、半分くらい他のToppsアーティストのデザインだったね。
時々、Toppsの人は私にスケッチを見せて絵を描かせたり、時にはアート・スピーゲルマンと電話でアイディアについて話し合ったりもしたね。
Masa:
80年代は、特にカートゥーンアートや、トイや、トレーディングカードの名作が世界的に豊富な時代でした。
あなたは、この時代からアーティストとして活躍していますが、これについてどのように感じますか?
80年代は、特別な時代だったと思いますか?
John Pound:
携帯電話やインターネットの中毒者がまだ出てなかったからかな~?(笑)
Masa:
アメリカのアートシーンと海外のアートシーンには、大きな違いがありますか?
John Pound:
アメリカのアートシーンでは、アートグッズを売るプレッシャーがかなり強くあります。
アートも全てビジネス的な考え方だと思います。
逆に、日本もそうなのかな?分からないけど。
僕にとっては、ビジネス向けのアートより、アーティストの興味や、アーティストのハートから出るアートの方が面白いと思うね。
Masa:
あなたは、他のアーティストの作品などをコレクションしていますか?
または、今気になっているアーティストの作品は?
John Pound:
僕は、アートブックや、グラフィックデザイン系ブックを集める事が好きだね。
現代アーティストの中では、ヘニング・ワゲンブレス(ドイツ)や、ダーレック(本名:ジェイムズ・マーシャル)や、ジョン・ウェスリーなどのアーティストが好きだね。
後、ケイイチ・タナアミや、ムラカミなどの日本人アーティストにも興味はあるね。
最近、シンジロウ・オカモトというアーティストの本を買った。面白い本だと思うね。
そして、ディジタルコードアートを通して、景色のデザインを描く事が好きになったから
ホクサイや、ヒロシゲなどのアーティストの作品を見たら、いつも感動するね。
彼らのデザインは、シンプルで上品だけど、パワフルな気持ちを感じるね。
Masa:
あなたは、RAN DUMというディジタルコードアートを作っていますね。
あなたのファンや、ウェブサイトの読者は、このアートをどう感じているのでしょうか?
John Pound:
ハッキリ言うと、こういう作品を理解してくれるファンが少ない!
僕は、まだ展示していないし、ウェブサイトだけで見る事ができるんだけど
このアートは、アートディレクターの目に止まれば、いつかマガジンのカバーや、CDカバー、ポスターに使われると思うね。
Masa:
あなたは、アメリカでは、多くのギャラリーで作品を展示しています。今後、他の国で展示を開く予定はありますか?
John Pound:
まだ具体的な予定がないけど、海外のギャラリーと一緒にプロジェクトができれば嬉しいね。
今の時代は、アートをネットで買って、送って、違う国で印刷されるというアイディアが好きだね。
Masa:
今後のアートプランは?
John Pound:
今、ディジタルコードアート関係の本を出版する事を考えているよ。
様々な出版社と話し合っている。彼らも面白いアイディアがあるかもしれないね。
Masa:
今回は、インタビューありがとうございました。
John Pound:
ありがとう!!
イラストレーター:ジョン・パウンドのオフィシャルサイト
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