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ノーザン・ソウル(Northern Soul):イギリスのユニークなクラブカルチャー

ノーザン・ソウル(Northern Soul):イギリスのユニークなクラブカルチャー

イギリスのユニークなクラブカルチャー:ノーザン・ソウル(Northern Soul)の歴史


ノーザン・ソウルとは、1960年代の後半にイギリスのモッドというシーンから始まったミュージックとダンスのムーブメントである。

アメリカのTamla Motown(タムラ・モータウン)というテンポの速いソウル音楽に基づいている。ノーザン・ソウルの世界では、有名なアーティストの曲よりも、一般的によく知られてないアンダーグラウンドなアーティストの曲の方がノーザン・ソウル的であるという見方がある。



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ノーザン・ソウル(Northern Soul)のルーツ

ノーザン・ソウルは、マンチェスターのTwisted Wheel(ツイステッド・ウィール)というミュージックヴェニュー(クラブやイベントスペースの事)で発展した。

この店は1950年代にコーヒーショップとしてオープンしたが、1963年に、オーナーが変わりミュージックヴェニューとなってこのムーブメントが始まった。

当初は、週末にライブバンドのパフォーマンスを行って、平日はDJを呼び、ダンスフロアとして使用するスタイルで店を運営していた。

1963の後半に、DJ Roger Eagle(ロジャー・イーグル)というアメリカンソウル専門のDJは店で定期的にDJプレイにきてはソウルをかけていた。

それが後にソウルを聞くクラブなら、Twisted Wheelが一番良いクラブだ。このような認識がイギリス中に広がっていくことになった。

そして、1960年代の後半までにTwisted Wheelはマンチェスターのモッドシーンの中心になり、全国のダンサーや音楽のファンは土曜日のオールナイトのイベントを参加しにやってきた。

ダンサー達はアンフェタミンを飲み、最高のエクスタシーを感じながら何時間もビートの速いソウルで踊り続けていた。

1971年に薬物の問題によりTwisted Wheelが閉鎖になったが、このダンスと音楽のシーンはさらに他の北部の都市に広がっていた。



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ノーザン・ソウル(Northern Soul)の絶頂期

ノーザン・ソウルのピーク時期は1970年代の後半だと言われていて、1970年代の前半から、Wigan Casino(1973 – 1981)や、Blackpool Mecca(1971 – 1979)などの代表的なノーザン・ソウルクラブが盛んになった。
1976年まで、Wigan Casinoには10万人のメンバーがいて1978年にアメリカのBillboardという雑誌の読者に世界一のディスコとして投票されている。



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ノーザン・ソウル(Northern Soul)・ミュージック

アメリカのソウルサウンドは、時代と共に徐々に変わり始めていた。ファンクや、ディスコやジャズファンクの要素は、少しづつソウル音楽にミックスされ始めてきていた。

しかし、イギリスの北部のダンスクラブのDJは、このトレンドに全く気が付いていかなかった。むしろ、DJ達はダンサー好みの速いビートのレコードを探しだしてクラブで流していた。

個人のDJのレコードコレクションをクラブでかけるDJたちが多く、そのマニアックな選曲が益々人気になっていった。その頃、ノーザン・ソウル(Northern Soul)DJの中でもライバル関係が現れ始めた。
他のDJより抜きに出るために、アメリカのレアなレコードやイギリスでリリースされてないレコードを集めてはクラブでプレイした。

また、彼らDJのコレクションしているレコードは、アメリカにおいてマイナーなアーティストでレコードをリリースしている元のアーティストたちもイギリスで人気になったことを知らない人も多かった。

自分の宝であるレアな秘密レコードを守るために、レコードのレーベル部を隠すDJもいた。のちにノーザン・ソウルのコミュニティーはこう考えるようになった。

『レアなレコードをかけ続けるだけではノーザン・ソウルのコミュニティーで受け入れられない』
ノーザン・ソウルのダンススタイルに合わないようなら、このコミュニティーで人気になることがない。だが、メインストリームのヒット曲もノーザン・ソウルのシーンには入ることが出来ない。




ミュージックライターのKev Robertsによるノーザン・ソウルのTOP10リスト

  • 1. Wilson, Frank – Do I Love You (Indeed I Do) (Soul) (£15,000)
  • 2. Gray, Dobie – Out on the Floor (Charger)
  • 3. Baker, Yvonne – You Didn’t Say a Word (Parkway) (£300 – official issue)
  • 4. Wilson, Al – The Snake (Soul City)
  • 5. Radcliffe, Jimmy – Long After Tonight is Over (Musicor)
  • 6. Fountain, James – Seven Day Lover (Peachtree)
  • 7. Epitome of Sound – You Don’t Love Me (Sandbag)
  • 8. Mimms, Garnet – Looking for You (United Artists)
  • 9. Beverly, Frankie & the Butlers – If That’s What You Wanted (Sassy/Gamble)
  • 10. Wood, Chuck – Seven Days Too Long (Roulette)
このリストのナンバーワンのWilson, Frank – Do I Love You (Indeed I Do)というレコードは超コレクターアイテムとなって、現在では¥210万くらいで売買されている。






ノーザン・ソウルのダンススタイル

ノーザンソウルのダンサーは、速い音楽と合わせてステップする。そして、ブレイクダンスのようにいきなり床にジャンプしたり回転したりするダイナミックなスタイルでスライドステップもこのダンスの特徴である。

クラブの床にパウダーを散りばめて、スライドステップをしやすくする。意外にもノーザン・ソウルシーンはアルコールなどの酒類を嫌いマラソンのような長いダンスセッションを可能にするために、ダンサーはアンフェタミンを飲んだ。音楽と合わせるハンドクラップも、このダンスのジャンルの特徴である。



ノーザン・ソウルのDJカルチャーと現在のハウスシーンに与えた影響

2000年代のスーパーDJカルチャーはノーザン・ソウルシーンから発展したと考えられている。ノーザン・ソウルのDJ達はレアなレコードコレクションを持っている事から、ファンは自分の好きなDJの音楽を聞く為にこぞってクラブに遊びに来た。

このノーザン・ソウルのブームにより、イギリスで最初のレコードコレクターやDJ、レコードディーラーのネットワークが始まったと考えられている。その後、沢山のノーザン・ソウルDJはマンチェスターのHaciendaなどのハウス系クラブで活躍していった。



現在のノーザン・ソウルカルチャー

ノーザン・ソウルが始まった始めのクラブは、なくなっていったがノーザン・ソウルのイベントはとても人気があり、近年ではノーザン・ソウルのイメージをイギリスのラップアーティストやソウルシンガーのビデオやアルバムカバーで見ることができる。また、ノーザン・ソウル関係のドキュメンタリーや映画も作られ始めている。


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