アナログのリバイバルカルチャーについて
世界的に見ても年々とその数が目減りしているレコードショップや
アナログな媒体を扱っている業種。
一部のコアな商品を扱っているマニア向けのショップなら
ファンに支えられながら、ミニマムに経営を続けていっているかもしれませんが
顧客のターゲット層をメインストリームに絞ったようなショップの
経営は日に日に厳しくなって、日本でも年々とその数が減っています。
しかしここへ来て
少しづつではあるが、音楽業界やクリエイティブな職業を生業とする
アーティストの制作物を中心に、アナログ志向になっているように感じます。
ミュージシャンの間ではソフトウェアで音源を用意する人もいるが
未だに、アナログ=ハードシンセにこだわって作っている人もいます。
イラストレータなども、デジタルツールに走ってみたものの
やっぱり、アナログな制作手法に帰ってきたり
しかしこのような、変化はクリエーターとしてみると
それは、単に音質や質感だけの問題ではなく
操作性=直感性なども重視しているように感じます。
例えばミュージシャンの中にも、すべてをソフト(PCの中)で
済ませてしまおうと思っている人と、アナログの機材を必ず通して作品を仕上げたい。
などと、いろいろな嗜好や意見があります。
以前のサイトでも紹介したこのショップOOGA BOOGAの
商品のラインナップをみてみると、非常にアナログ的な商品が多いし
それらを、求めるユーザーも同店のL.Aコミュニティーには存在している。
むしろアナログであるからこそ、それがウリとなっている
特にMP3、MIXCDの全盛の今にMIXTAPEのリリースを促したり
L.Aの人気レーベルStones Throw(ストーンズ・スロー)
なども、積極的にバイナルのリリースを行っています。
同レーベルの代表でもある、Peanut Butter Wolf(ピーナッツバターウルフ)は
LAのバイナル製造会社がなくなるまで、バイナルと作っていきたいと意気込んだメッセージもあったくらいです。
Stones Throw(ストーンズ・スロー)は
元々バイナルカルチャーからスタートしたレーベルという経緯もありますが
やはりここでも、アナログで存在しているというパッケージの重要性が
明確になっている証拠でしょう。
その商品やモノ、サービスによっては
デジタルで存在している必要があるモノと、アナログ=モノとして存在していなければ
魅力的ではないモノ、そのように需要が分かれているようです。
時代によって、淘汰されていくものと
古くても、それが”アジ”となって残されていくモノ
今後も、ますますその傾向が強くなっていくんのではないでしょうか。
現にL.Aのローカルなレコードショップでもスタッフと話した機会に聞いた話だと
MP3よりも、パッケージ化されたCD,DVD,MIX CDの方が売れ行きがよいようで
特に限定化された、CDやDVDは売れる傾向にあるとの事。
また、著者の友人が2年ほど前からアメリカはニュージャージーにて
ビンテージキーボードや、デジタル楽器・ソフトウェアではなく
アナログのハードウェアの専門ショップを営んでいるんですが
修理やメンテナンスを行っているという事もあり
地元アーティストや、遥々アメリカの田舎からビンテージキーボードの修理も
依頼するような、アーティストもいたりと、楽器販売の商売も順調のようです。
彼は、昔マンハッタンで楽器店を営んでいて
当時は、そこそこの商売をしていたようですが
ミュージシャンの使用楽器の環境変化や業界のシステム変更により
一度は、お店をたたみましたが、改めてアナログに帰ることによって
本来のあるべき楽器店として息を吹き返したようです。
以上の、ことを考えると
アナログリバイバルというのも、デジタルが行き過ぎた時に起こる結果なのかもしれません。
デジタルで作られたものは、タイミングやサイズすべてか均一化して
キッチリしています。
クリエイティブな分野では正確過ぎたモノは、ゆとりがなく
一見するとキレイですが、長くは愛され続けるようなモノなのではないかもしれませんね。