アーティストインタビュー:ナゼィール・タンブーリ(Nazir Tanbouli)

アーティストインタビュー:ナゼィール・タンブーリ(Nazir Tanbouli)

アーティストインタビュー:ナゼィール・タンブーリ(Nazir Tanbouli)

 

ナゼィール・タンブーリ(Nazir Tanbouli)は、エジプト人のミューラルアーティストである。エジプトのアレクサンドリア市で生まれ育った。アレクサンドリア大学で美術学を専攻したのち、30歳頃ロンドンに拠点を移してからは「カンバウェル・カレッジ・オヴ・アーツ」というアートスクールでスクリーンプリントと絵本の作り方を学んだ。


彼は、現在様々な国で作品を展示するなど、グローバルなアート活動を行っている。
展示会の他にも、数多くのアート祭にも参加している。現在は、東ロンドンのハックニー地区で、「キングズ・ランド・プロジェクト」というストリートアートプロジェクトを行っている。
このキングズランド・エステイトは、いわば古い団地で、今年取り壊すことになっている建物だ。
タンブーリ氏とボランティアのアシスタントは、これらの廃ビルにアートミューラルを施してきれいに再生させる計画を立てた。区議会(つまり、ビルのオーナー)から許可をもらい、2012年の3月からこのプロジェクトを着工し始めた。
彼の作品は、地元の人たちにとても人気があり、ロンドンの様々な新聞で紹介されるようになった。

今回ストリートスタイルは、このミューラルアーティスト、ナゼィール・タンブーリ氏のインタビューを行いました。
その際の模様をご紹介いたします。
タンブーリ氏は、「キングズ・ランド・プロジェクト」について。また自身のアーティストライフについて話してくれました。

 

ナゼィール・タンブーリ(Nazir Tanbouli) - photo by Nazir Tanbouli
ナゼィール・タンブーリ(Nazir Tanbouli) - photo by Gillian McIver


 

 

 

 

 

 

 
Masa: 

2012年の3月からプロジェクトを始めていると聞いていますが
「キングズ・ランド・プロジェクト」はいつまで行われる予定ですか?またこの廃ビルはいつ取り壊される予定なのでしょうか?

Nazir Tanbouli:

このプロジェクトは、ビルが取り壊されるまでに続けるよ。つまり、2012年の秋。多分、9月か10月に終わるね。

 

キングズ・ランド・プロジェクト - photo by Nazir Tanbouli
キングズ・ランド・プロジェクト - photo by Nazir Tanbouli


 

 

 

 

 

 

Masa:

今回の作業も含めて、普段、ミューラルを描く際に、どんなマテリアルを使っていますか?

Nazir Tanbouli:

私たちは、「ペイストアップ」というテクニックを使っている(ペイストアップとは、大型のポスター)。
スタジオで60gの紙に筆とインクで絵を描いているんだ。そして、壁紙専用の糊で外壁に貼っていくんだ。

 

スタジオワーク - photo by Nazir Tanbouli
スタジオワーク - photo by Gillian McIver


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Masa:

作品を作る際は、アシスタントに手伝ってもらう事もあるんですか?

Nazir Tanbouli: 

そうだね。アーティストアシスタントに手伝ってもらっているよ。
このプロジェクトには、資金がない事から、全員ボランティアなんだ。だからみんな、お金をもらわないで手伝ってくれているよ。
そして、他のアーティストとコラボレーションもしていて、ヴァレンティン・マンツというドイツ人のアーティストと一緒にミューラル作品を作ったんだ。
プロジェクトが終わる前に3~4人の他のアーティストとコラボレーションするつもりなんだ。多くのアーティストをサポートしたいからね。

Masa:

作品を作る際に、どうやってテーマを選びますか?
それと、あなたの作品群にはどんなメッセージが含まれていますか?

Nazir Tanbouli:

このプロジェクトの作品は、全て即興で作っているんだよ。
今まで、4ヶ月の間に13件のビルにアートを施しているけど、計画やスケッチなしでスタジオで即興でミューラルを描いたんだ。
スタジオで大型の紙で筆とインクで不思議なキャラクターを描き、外に行って好きな壁に貼るだけ。
アイディアや、メッセージより、ストーリーを語りたいと思って表現しているんだ。

作品のイメージとしては、この団地を大型の絵本にしたいと思っているんだよ。
本で、読む絵本やマンガではなくて、この団地を使って、入ることが出来る本だね。「不思議の国」のようなイメージを表現したいと思っているんだ。
等身大のマンガみたいな雰囲気だよね。そういった感覚を人々に感じさせたいね。

 

不思議な生き物 - photo by Nazir Tanbouli
不思議な生き物 - photo by Nazir Tanbouli


 

 

 

 

 

 

 

 

 

Masa:

ロンドンのローカルの住民からの感想や意見はどのような感じでしたか?

Nazir Tanbouli:

殆どの人は、このプロジェクトを気に入ってくれているね。
特に、このエリアに住んでいる人達からは、喜ばれているよ。
しかし、残念ながら、今までに、このプロジェクトに対して、3名の子達が作品を壊すトラブルを起しているんだよ。
でも、先週に防犯カメラの前で作品を壊すシーンを捉えることができて、やっと犯人の証拠をつかめたんだ。

アートを壊される事は、今までの中で一番大変な問題だったよ。
ものの2~3分で、2~3日間の作業を台無しにしてしまうからね。仮に壊されてしまっても、ポジティブな考え方を持ってこのプロジェクト活動を進めていきたいと思っているよう。このプロジェクトによってポジティブなエネルギーを広げたいと思っているからね。敵を作るわけにはいかないよ。

私は、作品を作りながら、「禅」のような瞑想をするんだ。「禅」のようなアートを作っている事から、そういったピースな雰囲気を広げたいね。
だから、どんなトラブルに遭っても、ポジティブな気持ちでいたいね。

 

キングズ・ランド・プロジェクトのミューラル - photo by Nazir Tanbouli
キングズ・ランド・プロジェクトのミューラル - photo by Nazir Tanbouli


 

 

 

 

 

 

Masa:

このプロジェクトを行う前に、ストリートアートを作った経験はありましたか?
それとも、ギャラリー向けのアートをつくる事が多いんですか?

Nazir Tanbouli:

私は、2歳の頃から絵を描いている。
私の家族のメンバーは全員アーティストで、私も自然とアーティストの道を辿ったんだ。2歳の頃からアートトレーニングをさせられたからね(笑)。

私は、「ストリートアーティスト」や、「美術館向けの作品を作るアーティスト」などのカテゴライズがあまり好きではないんだ。
確かに、今までは殆ど美術館で自分のアートを展示してきたけどね。
初めての展示は、1989年で、それ以来ずっと続けているよ。

ロンドンのアートギャラリー界では、閉鎖的な雰囲気があるだ。普通の人々は、アートの世界から、かけ離れている。
だから、普通の人達は、アートをあまりみに行かないんだよ。アートは自分の生活に関係ないと思っているからね。

私は、音楽や、ムービーと同じようにアートを作りたい。
自分の作品を多くの人に見てほしいし、多くの人に楽しんでほしい。そういった理由で、ストリートでアートを展示するのがいいと思ったんだ。
普段、ギャラリーに行かない人でもアート作品をみる事ができるからね。ギャラリーで作品を展示をしたら、それをワザワザみに来る人が少ないだろうけど、ロンドンの賑やかなストリートで作品を展示をしたら、多くの人がみて、アートを楽しむ事ができるからね。
だけど、それだからって、自分を「ストリートアーティスト」や「グラフィティーアーティスト」と思っていないよ。
アーティストとしての肩書きが必要な場合は、こういう名前がいいかな・・・。
「時々ストリートで作品を作るミューラルアーティスト」、こんな感じがいいかもしれないね。

 

ナゼィール・タンブーリ - photo by Nazir Tanbouli
ナゼィール・タンブーリ - photo by Gillian McIver


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Masa:

あなたは作品で、どんなテーマや、メッセージを表現していますか?

Nazir Tanbouli:

一般的に、「ストーリー」というコンセプトを表現しているんだ。昔話や伝統的な童話、宗教的なキャラクターをよく描いているね。
そして、現在の政治や革命、世の中の乱れなどのテーマを表現したいと思っているよ。
出来れば、日常的な内容のテーマを神話のキャラクターやシンボルで表現したいね。

Masa:

今まで、エジプトや、スペインや、ドイツなどの国々で作品を展示したと聞きましたが、日本に来る予定がありますか?

Nazir Tanbouli: 

勿論、日本に行きたいよ!機会があったら、絶対に行きたい。
私の夢は、死ぬ前に世界の全ての国でミューラルを描く事なんだ。
だから、もちろん、日本でもミューラルアートを描きたいと思っているよ。
しかし、海外に行くことは、物理的にも、時間と資金がかかるからね。ギャラリー側かアートファンの招待によっても状況は変わってくるだろうけど。

Masa:

好きなアーティストや、尊敬しているアーティストはいますか?

Nazir Tanbouli:

一人の気に入りアーティストを選ぶのはとても難しいことだけど、1930年代から1940年代のアーティストが好きだね。
アンリ・マティスや、パブロ・ピカソや、マックス・アーネストなどの古いアーティストが好きだね。
現代アートの中で、キース・ヘリングなどのストリートアーティストにも興味があるね。私が大学生の時、キース・ヘリングのアートと考え方は、とても大きな影響だったよ。
彼の影響で、自分の夢や目標を決めることができたんだ。今活躍しているアーティストの中では、Bluというイタリア人のストリートアーティストをリスペクトしているね。同時にアート界で活躍しているから、彼に影響されているとは言いたくないけど、彼の才能を尊敬しているよ。
彼は自分のアート分野を作り上げたパイオニアだから、本当にリスペクトしているよ。

Masa:

これからの計画はどのような事を考えていますか?

Nazir Tanbouli:

生き続けて、描き続けたいです。
出来るだけ沢山の作品を作りたい。前に少し話したけど、世界の全ての国でミューラルを作りたい。今取り組んでいる「キングズ・ランド・プロジェクト」が終わったら、カナダのバンクーバーに行く予定があるんだ。そこで、ミューラルを描く予定だよ。

 

ナゼィール・タンブーリ - photo by Nazir Tanbouli
ナゼィール・タンブーリ - photo by Gillian McIver


 

 

 

 

 

 

 

ナゼィール・タンブーリ(Nazir Tanbouli)ウェブサイト

ナゼィール・タンブーリのウェブサイト:www.nazirtanbouli.com
キングズ・ランド・プロジェクトのブログ:http://kingslandmural.wordpress.com

 




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